日本版金融経済教育システムの構築へ向けて : ライフステージ別金融経済教育の導入

Abstract

金融商品・サービスの複雑化・多様化や金融に関する自己責任の風潮の高まりを受け、金融リテラシー能力が必要になってきている。金融リテラシー能力の向上には、金融経済教育が重要な鍵を握ると考え、幅広い年齢層に対して消費者教育を行うイギリスと、様々な主体が連携し合いながら金融教育を行うアメリカとを考察し、国によって金融経済教育にはかなりの違いがあることが分かった。 日本で金融リテラシー能力がより必要な年齢層は社会人であることから、日本版金融経済教育では、人生の重要なライフイベントの時に必要な知識を習得できる日本独自のシステムを提言する。また、学校教育内で行う金融経済教育では、金融経済教育を行っていく上で不可欠な、数学を始めとする基礎学力との兼ね合いを考慮する必要があることを論じる。 総じて、本稿では、個々人が金融というツールを活かした生活を営める社会とするために金融経済教育が必要だと論じている。